自閉症の子供にとっての【運動会】
先日、息子(5歳)の保育園で【運動会】が開催されました。
自閉症の子供を持つ親御さんは、運動会が終わるまではハラハラドキドキではないでしょうか。私も息子の運動会については、成長が見られるのではないかという『期待』と、先生や子供たちに迷惑をかけたり参加できない状況になってしまうのではという『不安』が入り混じり、いつも気持ちが全く落ち着きません。
【運動会】の苦手ポイント
自閉症の子供にとっては【運動会】=【ハードルが高い行事】だと言われることが多いようです。
自閉症の子供が運動会が苦手である理由はどこにあるのでしょうか。これは自閉症の特性を考えれば答えが見えるところですが、一番は普段とは異なる環境だと思います。集団行動や決まりごとも多くありますし、自分のペースが崩されたり、環境の変化も多い運動会には参加したくないと思ってしまう子もいるかもしれません。
- 知らない保護者などたくさんいの人に囲まれる・見られることが不安
- マイクの音、大きな音楽、ピストルの音、声援などが嫌だ
- 体操着や衣装などを着たくない など
- 通常予定に練習時間が入り、予定の変更が多くなる
- 失敗すると練習を繰り返すので、終わる時間が分からない
- 練習と本番に違いが生じると混乱し、対応できない
- 自分が参加する種目まで待つ時間が長く、待つことができない など
- 徒競走で負けたり、ダンスがうまく踊れなかったりする
- 自分のせいで周りに迷惑をかけてしまう不安 など
発達障害には粗大運動や微細運動が苦手という面があります。これはいわゆる”不器用”といわれる状態ですが、これは滑らかな運動を行う脳機能に障害があるからです。息子もこの点は当てはまるため、他の子より運動面では不器用さが目立ちます。
- 粗大運動が苦手
赤ちゃんでいう寝返り、ハイハイ、つかまり立ち、歩くなどの発達が遅れる
動きがぎこちない
姿勢が崩れやすい
スキップや縄跳びができない 等 - 微細運動が苦手
箸やハサミなどの道具をうまく使えない
物をよく落とす
ボタンをかけたりはずしたりが苦手
鉛筆を正しく持てない 等
練習から運動会は始まっている
練習には参加できているか
保育園の先生とは、お迎えのわずかな時間で園での様子などを伺っていました。また、連絡帳にその日やったことや息子の様子などを簡単に記載いただいています。
そこでの話からすると、まず徒競走と組体操の練習には参加し、内容もなんとか覚えることができているようです。ただ、ダンスについてはいつも見学したり、しなかったりとあまり踊っていない様子でした。ダンスは嫌いではなかったはずなのに参加できていないのは意外でした。体を動かすことは何でも楽しむような性格なのに。
運動会が近づいてきたある日、息子から「〇〇踊る~」といって、YouTubeで曲を流して欲しいとリクエストがありました。ここで運動会で何のダンスをするのか知ったのですが、その動画を見るに、おそらく息子にとってはとても難易度が高い踊りでした。家で踊る様子を見ると楽しそうですが、ジャンプするのがほとんどで、手足の振付がしっかり出来ている部分はわずかでした。
その時、「練習に参加しないのは、このダンスが難しくて頭が混乱してしまうからかもしれない。それか、他の子のように踊りたくても自分が踊れていないのが彼なりに”つまらない”のかもしれない。」と思いました。
運動会の前に息子に伝えたこと
「ダンスは上手くできなくてもいいよ。楽しんで踊るんだよ。
走るのは1番になれなくてもいいよ。最後まで頑張て走るんだよ。
ママとパパはちゃんと見てるからね。」
息子がこの言葉をどれほど理解し、覚えているかは分かりません。ただ、運動会の前に息子が家で踊ると言ってきたら、そのダンスを一緒に楽しんで、しっかり振付が付いている部分については「上手じゃん~!」とたくさん褒めました。
息子らしさ満載の運動会
息子が通う保育園は全体で60人ほどの子供たちがいますが、コロナの影響で今年はクラス単位での実施となりました。息子がいる年中クラスは合計12名。当日は雨だったので、ぶっつけ本番ではじめて体育館での実施となりました。
出来たこと、出来なかったこと
- 会場に入ると同時にダッシュ。
- 初めての体育館や鮮やかな装飾などが目に入り、明らかにテンションが高くなりました😅
- 荷物も持たずにクラスのみんなが待つ場所へ。
- トイレに行かせ、一声かけて送り出しました。
- みんなが座って開始を待っている間、息子は何度も立ち上がり窓の外を見に行ったり、入場門を触りに行ったり、とにかくじっと座っていられず、先生が一人隣についてどこかへ行ってしまわないようにしてくれました。これも昨年と変わらない状態です。
- 観覧席から息子の様子を遠目で見つめる私たち。そして他の保護者にも見られている状態😇
- 息子の入場は安定の先頭です。ダンスも組体操もすべて一番端です。一番であれば前後など順番が複雑にならないので分かりやすいという先生の配慮。ある意味、仕方のない定位置です。
- 笛の音と共に入場ダッシュ。止まるはずの場所を飛び越え、観覧席にいる私の目の前まで来てしまいました😓戻って、戻って。
- ダンスは全部で2つありました。一番端っこで、隣には先生が1人付いてサポートしてくれています。
- 1つ目のダンスは、止まったりしながらも自分がわかる振付の部分はしっかり踊っていました。後で先生に聞いたら、この時初めてこのダンスを踊ってくれていたそうです😅きっと練習中に見学をしながら実は覚えていたんですね。(家では少し踊っていました)
- 2つ目は残念ながら、ほどんど踊れませんでした。踊れないのは別にいいのですが、曲が終わるまでずっとだらだらフラフラな状態になってしまい、隣に付いてくれた先生が何度も踊るよう促してくださったのですが、先生に抱きついたりしながらもう完全に踊る気が無くなっていました。確かに難しいダンスだったので、これは踊れません・・。
- この手に負えないほどのだらだらフラフラ状態の息子については、できれば他の保護者の目には入れたくなかった😇
- 3人で徒競走です。息子の走る順番はやはり一番目。
- よーい、ドン!という合図ですばらしいダッシュをすることができました。
- しかし、体育館を一周するはずがコースを理解しておらず、すぐにコースアウト。半周して1番にゴールテープを切ってしまいました。
- 本当の1番だった子が息子のせいでテープを切れなかったことが申し訳ない気持ちでした。
- 私は体育館でやると聞いた時に、この一周のコースを理解していないのではないか・・という嫌な予感があったのですが、的中しました。予期していたのに事前に教えることができなかった・・これがこの運動会で一番の無念でした😭 ちゃんと教えていれば、徒競走も結構いい感じで走れていたと思います。
- この種目は他の子供たちと協力して行わなくてはいけません。
- とても心配していましたが、これについては大変よくできていました。ふらふらと崩れるところはありましたが、お友達と一緒に頑張って取り組んでいる姿がありました。
- 一番感動したのは、先生の笛の合図で息子が先頭になってウェーブを作るところです。息子がしっかり音に合わせて行う動作からみんなのウェーブが始まるのですから。「息子とお友達との一体感が見れた」これは私たち親にとってとても嬉しい姿でした😊
保育園の先生方に感謝
先生方にとって、自閉症の子の対応は普段から大変な場面が多いと思います。
息子が通う保育園の先生方は、入園した時から息子の特性をしっかり見ながら保育をしてくださっています。定期的に面談もしながら息子の様子・成長・対応について情報交換をし、息子にとってどのような関わり方をすればよいか考えて実行してくださっています。保育園は家から近いわけではないので、送迎は簡単ではりませんが、この保育園にして良かったと感じているところです。
その子にとって、どのようなフォローがいるかは異なりますし、園側がどのように対応するかは園によって異なると思います。息子が嫌だというのであれば、園側は無理やり運動会に参加させませんが、どうしたら参加できるかを考えて取り組んでくれることを有難く感じています。
親として考える【運動会】
運動会や発表会で、息子の姿が他の保護者の目に触れることを「こわい」と感じることがあります。
『発達障害が無ければ・・息子はもっとやれる・・もっとできる・・はずなんだ・・』
そんな風に考えたことが無いとは言えません。他の子と息子を比べた時のショックは、この先も続くことでしょう。でも、息子が頑張っている姿やありのままの姿を否定するだけの子育ては楽しくありません。発達障害のある息子らしい姿を、親としてしっかり受け止めて、一緒に楽しんであげたい。
家庭ではできない経験が運動会などの行事です。息子にとって良いこともよくないことも、きっと思い出や経験として少しずつ積み重なってくはず。私たち親だって、経験しながら、親としていろんな面で強くなっているはずですし、子供と同じですね。
さて、年長さんや小学生になった時、【運動会】が息子にとってどのようものになるのでしょうか。