出産~脳瘤(髄膜瘤)の手術まで

脳瘤

<注意>
今回、娘の脳瘤のうりゅう髄膜瘤ずいまくりゅう)について書き残そうと思いますが、あくまで娘のケースでの体験かつ素人が調べた内容を含みますので、ご了承ください。

娘の「コブ」に診断名が付くまで

2021年3月、深夜0時過ぎに総合病院にて娘を出産しました。コロナ禍で計画分娩を選択し、立ち合いも面会もなしということで少し不安もありましたが、無事に出産できて安堵しました。

産後0日目 ~頭にコブを発見する~

母子別室で、娘をはじめて抱っこしたのは昼過ぎ。小さくて可愛い赤ちゃんのぬくもりに何とも言えない幸せを感じた瞬間でした。ふと頭を見ると、頭頂部より少し後ろに1センチくらいコブのようなものが飛び出ているのに気づきました。「これは・・何だろう?」出産してすぐは気づかなかったし、助産師さんからも何も言われていません。
コブについて疑問に思ったものの、産後で思考停止していたのか、「このコブは大丈夫ですか?」とその時には確認しませんでした

産後1日目 ~超音波&レントゲン検査~

朝一で先生が病室まで来ました。「赤ちゃんの頭にコブがあるのですが、念のため超音波とレントゲンを撮ってもよろしいですか」と確認され、その時ようやく『ああ・・あれはやっぱり何か普通じゃないコブだったのかな・・』と理解し、大きな不安に襲われました。
その日の午後には検査結果が出ましたが、 出産で圧迫されてできたものか、元々あったものか判断でないということでした。ただ、緊急性はないだろうと言われ、後日、皮膚科の先生にも診てもらうことになりました。

産後4日目 ~皮膚科の先生に診てもらう~

皮膚科の先生に診てもらったところ、次のように言われました。
「頭蓋骨の上に液体が入っていると思われます。コブの硬さから悪性でないと考えています。消えるものではないので、成長を見て手術して切除することになるでしょう。ひとまず緊急性はないので、1ヶ月検診でまた皮膚科を受診してください。」

この時、はっきりした診断名をもらえなかったのもあり、本当に1ヶ月何もしないで大丈夫なの?と思いましたが、自分も産後で入院中のため、まずは授乳など目の前のことをやるだけでした。素人の私には先生の言うことを信用するしかありません。

生後1ヶ月 ~大学病院を紹介される~

待ちに待った1ヶ月検診の日。この1ヶ月は喜びと眠気と不安が入り混じった複雑な日々でした。皮膚科に行くと、前回とは違う先生から血腫けっしゅかもしれません。切除するにしても大学病院を紹介します。」と言われました。大学医学病院を紹介していただけたのは良かったのですが、1ヶ月待ったのは何だったのか・・と思ってしまいました。

なお、血腫とはそのまま血液のかたまりということですが、頭血腫ずけっしゅといわれるコブが新生児には見られるそうです

頭血腫とは?
  • 出産時に産道を通る時の圧迫が原因で、赤ちゃんの頭にコブ(血腫)ができた状態のこと。
  • あくまでも頭蓋骨の外側の問題で、脳に影響が出て後遺症を起こしたり、命に関わったりといった性質のものではない。
  • 基本的に治療を行わずに経過を見て、小さなものであれば1ヶ月以内に吸収される
  • 母親の骨盤が狭いこと、吸引分娩きゅういんぶんべん鉗子分娩かんしぶんべんによる圧迫などが原因で起こる

頭血腫ずけっしゅというのは上記の通り、産道で頭を強く押されたり、吸引分娩などが原因でできるコブのことです。私の出産は特に吸引分娩をしていませんし、2人目の出産でもあり、どれも当てはまらない感じでした。

生後2ヶ月 ~超音波&レントゲン検査~

私と主人は紹介いただいた大学病院の皮膚科へ行きました。問診の際、先生が私たちが不安そうにしているのを察して次のように言ってくれました。


「このコブはご両親どちらのせい・悪い、とうことではないんですよ。
 頭のことなので、慎重に、確実に診て、
 一つひとつ一緒に対処していきましょう。」


不安な親の気持ちに寄り添って先生が仰ってくれたその言葉に、勇気をもらった気持ちでした。どんな結果でも受け止めていかないといけないと思いました。

皮膚科で再び超音波&レントゲンを撮りましたが、ここで脳神経外科でも診てもらうよう勧められました。切除するにしても、血管や神経など切除してはいけないものがある場合があると判断いただき、私たちもその方がよいと感じました。

生後3・4ヶ月 ~MRI&CT検査~

脳神経外科では、MRI検査とCT検査を行いました。MRIは放射線による被ばくがなく行える検査で、磁石による「強い磁場」と「電波」を使って画像を得ます。逆にCT検査はX線を用いるため微量の放射線被ばくがあります。その辺は先生も十分配慮しながら検査し、説明もしっかりしてくださいました。

そして、この検査の結果、先生から脳瘤のうりゅうという診断名をはじめて聞くことができました。

はじめて知った「脳瘤」

コブについてはっきりした診断名を聞くことができたのが脳神経外科で検査をした後のことでした。

脳瘤のうりゅうとは?
  • 生まれつき出来た頭蓋骨の穴から、頭蓋骨の中身が頭蓋骨の外に飛び出した状態を言います。1万出生に対して1~2名程度の頻度。
  • 飛び出てきたものが髄膜(脳を覆う膜)と液体(脳脊髄液)のみである場合を髄膜瘤ずいまくりゅうと呼びます。
    一方、飛び出てきたものの中身に脳組織が含まれる場合を髄膜脳瘤ずいまくのうりゅうと呼びます。

上記のとおり、生まれつき頭蓋骨が欠損していて、そこから頭蓋骨の中身が外に出てしまったのがコブの正体でした。赤ちゃんの頭が形成される際に、頭蓋骨が欠損してこのようになったのでしょうが、 どうしてこのようになったのかは全く分かりません。

妊娠中に診断できるのか

どうやって診断されるの?
  • 脳瘤のうりゅう、出生前に通常の妊婦健診で受けるエコーで発見されることがあります。エコーで脳瘤のうりゅうが疑われた場合、MRI検査を受け診断していきます。
  • 胎児の頭部や脳について心配なことがある場合は胎児脳を専門とする施設でしっかり診断してもらうのがよいでしょう。

娘の場合、妊娠中にこのコブについて指摘されることは全くありませんでした。

どのような症状が起こるのか

どんな合併症があるの?
  • まず見た目としてこぶができます。最も多いのが後頭部。前頭部にできた場合は額や顔面にできることもあります。
  • 脳瘤のうりゅう水頭症すいとうしょうをともなう場合があります。発生する場所によっては他の脳形成異常、口蓋裂こうがいれつ、視神経委縮といった先天奇形を合併していたり、痙攣けいれん発作・知的障害・発達障害などをともなうことがあります。

コブの大きさや発生する場所によっては、色々な合併症が考えられます。手術で切除しても、やはりその後の成長を見ていかないといけません。親としてはとても不安なところですが、まずはコブそのものについてよく調べてもらい、早期に手術していくのが一般的のようです。

娘の脳瘤(髄膜瘤)の様子

  • 娘のコブは、頭部と鼻孔を結んだ線(いわゆる正中線)上の後頭部にできていました。
  • 大きさは1センチ5ミリ程度。髪がそこまで生えていなかったので横や後ろ、上から頭を覗けばすぐにコブがあるのが分かります。
  • 抱っこ紐で外に出かける時は帽子を被っていました。頭を守るという理由もありましたが、周囲が娘のコブを見て「ん?」と思うのが少しイヤだったので隠しました。
  • 仰向けで寝る場合、ギリギリでコブが床に当たらない場所だったのですが、やはり寝かせる時はコブが当たらないか注意しないといけませんでした。
  • 生まれてからコブの大きさが変わったという感じはありません。ただ生後4ヵ月ともなれば生まれた時より体自体が大きくなるので、それに合わせてコブが大きくなっていたように思います。
  • 普通に触っても嫌がる様子はありませんでしたが、誤ってコブを強めに擦ったような時には泣いていたように思います。
  • 日常生活は普通にできていました。母乳やミルクも飲みますし、手足も動き、元気でした。

さて、診断名が付いてすぐに先生からは手術の日程について相談がありました。コブがあると分かっていてそれをそのままにしておくというのはお勧めしない、ご両親の都合や気持ち的に準備ができれば生後5・6ヶ月くらいには手術をして切除するのが良いでしょうと言われました。
娘についは両耳難聴という心配もあったため、早くこのコブについて前進させていという気持ちが強かったため、先生がご提案して下さったとおり、生後5ヶ月で手術をすることを決めました。

今振り返ると、最初に受診したのが皮膚科だったせいで診断名を聞くまでが長かったと思いますが、どの先生方もそれぞれの分野で慎重に診てくださり、しっかりと診断した上で手術をすることができたので、先生方には本当に感謝するばかりです。

タイトルとURLをコピーしました