【新生児スクリーニング検査】でリファー(要再検査)になった日 ~赤ちゃんの耳が聞こえていない?~

聴覚障害の娘の子育て

赤ちゃんの耳が聞こえていない?

2021年3月、娘を出産しました。コロナ禍で立ち合いや面会も一切できない状況で不安も多くありましたが、大きなトラブルもなく無事に出産することができました

産後4日目、入院中の病室に先生が来て、こう言いました。


産院の先生:「新生児スクリーニング検査がリファーで、パスしませんでした。両耳です。」

私の心の中 新生児スクリーニング検査って、なんだっけ・・?
       リファーって、どういう意味だ??
       パスしなかった??
       両耳・・??

産院の先生:「生まれてすぐの検査なので、耳に羊水が残っていて反応しにくい場合があります。
      この検査だけで耳が聞こえないという判断にはなりません。」

この時の気持ちをどう書けばいいのか・・
とにかく思いもしなかったその先生の言葉を聞いて、いきなり漠然とした大きな不安に襲われました。
妊娠と出産をやっと乗り越えて、わが子の誕生に喜びを噛みしめている真っ只中に告げられたこの言葉はとにかく衝撃でした。そして、この新生児スクリーニング検査(※略して新スク)は、難聴を確定するものではないというところもツラいところだったと感じます。なぜなら、ここで検査結果を告げられるものの、その後、再検査するまでは特に何もすることができないからです。『子どもの耳が聞こえないかもしれない』という不安を抱えたまま、再検査をする日までただ待つしかありません。

新生児スクリーニング検査とは?

  • 新生児聴覚スクリーニング検査は、生まれて間もない赤ちゃんを対象とした「耳の聞こえ」の検査
  • 出産した医療機関等で退院までの間に検査を受けることが一般的。実施していない場合は実施機関等を案内または紹介されるようです。
  • 赤ちゃんが眠っている間に、小さな音を聞かせて、耳や脳から出る反応を測定し、耳の聞こえが正常かどうかを自動的に判定します。検査は、数分から10分以内で終わり、赤ちゃんに痛みなどの体への影響はありません。
  • 検査は概ね生後3日以内に行うようです。生まれて直後だと耳に羊水が残っていて、誤ってリファー(要再検査)になることがあるようです。
  • 結果としてパス」は聞こえの反応があったということ。「リファー」は反応が無かったということで、要再検査になります。
  • リファーとなった赤ちゃんのうち、本当にに聴覚に問題がある子は約1割だといわれているそうです。

娘の場合、土日を挟む関係で、生後2日目に検査をしたそうです。そのため看護師さんにも「生後2日で検査したから耳に羊水が残っていて反応し難かったというケースもあるから、あまり心配しすぎないようにね」と言われました。そうは言っても不安しかありませんよね・・。でも、もしかしたら聞こえているかもしれない・・そう願うしかありませんでした。この時に不安すぎてネットでたくさん新スクなどについて検索しました。

聴覚障害を持つ赤ちゃんは 1,000人に 1 ~ 2人

先天性の聴覚障害の発生頻度は、1,000 人に 1 ~2 人程度と言われているそうです。以前は2歳を過ぎてから言葉の発達の遅れによって発見されることがほとんどだったようですが、近年では、全新生児を対象にすることが可能な、聴覚スクリーニング検査機器が普及してきました。
新生児スクリーニング検査の意義は、新生児期に聴覚障害の診断を行うことで、早期に障害を発見し、適切な治療や支援につなげることによって言葉の発達やコミュニケーションの形成を助けることにあるそうです。

1ヶ月検診での再検査

娘の場合、再検査は1ヶ月健診の時に実施すると言われました。(実施のタイミングは、産院などの医療機関で案内が異なると思います)この再検査までの1ヶ月間は、赤ちゃんと過ごす喜びと共に、耳の聞こえに対する不安が入り混じった、何とも言えない期間でした。

1ヶ月検診当日。この日は同じ時期に生まれた赤ちゃんとお母さん達がたくさん健診に来ていました。赤ちゃんがあちこちで泣いたりして慌ただしい感じもありましたが、どの親子もわが子と幸せそうです。私も娘との日々には幸せを感じていましたが、この日は不安が大きすぎたのか、何だか周りの親子が自分たちより輝かしく見えてしまいました。なので、この日は主人と一緒に来て良かったです。私だけだったらこの状況がもっとツラかったかもしれません。

ついに声を掛けられ、私と眠っている娘は耳の再検査のため専用の部屋へ通されました。検査は自動ABR(自動聴性脳幹反応)でした。眠っている娘の頭皮にはジェルが塗られ、電極を当てて測定しました。

自動ABR(自動聴性脳幹反応) とは?

  • ささやき声程度の小さな音を聞かせて脳波を測定し、その反応により聴覚を判定します。
  • 眠っていないと実施できない検査なので、授乳後など赤ちゃんが眠ったタイミングを見計らって検査します。

今回は私も一緒に検査室でその様子を見ていたのですが、娘の脳波は一向に反応がなく、時間がただ過ぎていくだけです。再検査の結果は、再び両耳リファー(要再検査)でした。

病院の先生から「今回の再検査でもリファーでしたので、精密検査を実施している医療機関で詳しい検査と診察を受ける方が良いと思います。」と言われました。

そうですか、そうですか、と先生の話を聞きながら涙が出そうになりました。まだこの時点では確定ではありませんでしたが、もう耳の聞こえに何かしら問題があるのは決まりだろうな・・と思いました。

小児医療施設での精密検査

産院から紹介されたのは、小児医療施設でした。そこの耳鼻いんこう科をすぐに受診したのですが、赤ちゃんは生後3ヶ月くらいで耳の機能がしっかりしてくるそうで、生後3ヶ月を待ってから精密検査を受けることになりました。仕方がないのですが、何だかんだ検査を受けるまで時間がかかってしまうんだなと思いました。

聴覚障害のある子については、生後 6 ヶ月頃までに療育を受ける施設や方法などが定まっていることが望ましいそうです。高度・重度の難聴の場合は、早期に補聴器を装用を開始し、音を入れてあげることで言語の発達を促すので、耳の聞こえに疑いがある場合は、早期に検査を受けるのが良いでしょう。

こうして娘が生後3ヶ月になり、精密検査としてABR(聴性脳幹反応)という脳波を用いた聴力検査を行いました。
その結果が、『 右耳90dB 左耳 90dBの聴力レベルでした。
実際には左耳については反応が無かったので、左耳に関しては90dB(デシベル:音の強さを表す単位)以上であれば反応が出るかもしれないと言われました。

難聴の程度 聴力レベル dB  聞こえの自覚
正 常0 ー 25dB聞こえに問題はない
軽 度25 ー 40dB 小さな音や騒音がある中での会話の聞き間違いや、聞き取りにくさを感じる
中等度40 ー 70dB普通の大きさの会話での聞き間違いや聞き取りにくさを感じる
高 度70 ー 90dB非常に大きい声か、補聴器を装用しないと会話が聞こえない
聞こえても聞き取りに限界がある
重 度90dB 以上補聴器でも聞き取れないことが多い

聴力の度合いによる難聴程度の分類(目安)

娘の聴覚障害が確定した日

この検査結果の説明を受け、診察室を出た私は、ついに涙がこぼれてしまいました。
もしかしたら間違いかもしれない。聞こえているかもしれない。と、ずっと期待していましたから。
息子が発達障害と診断された帰り道にも涙が出ました。

悲しかったというより、良いと信じていたことが、やっぱりそれとは異なる道に反れてしまった事実が、ただショックでした。そして、2人の子供がそれぞれ障害をもってしまった・・

でもすぐに涙を拭くことができたのは、他でもない、娘がいたからです。生後3ヶ月の娘は、検査を受けるために、いっぱい泣いて、いっぱい頑張ってくれました。難聴でもなんでも、子どもの愛しさは、出産した日から変わらないじゃないか!』私自身がその気持ちに確信を持てていたことにホッとしました。
正直にショックが無いとは言えませんでしたが、まずは目の前のことを一つひとつクリアしていきたいと思いました。

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